当岩崎地区は、酒・みそ・しょうゆの醸造地として江戸時代から発展した名水の地です。皆瀬川沿いで河川舟運の時代の交通の要衝でもあったため、明治時代には岩崎地区だけでも四軒の酒蔵があり、明治天皇に献納されるほどの銘酒が醸されていました。
ここはその蔵のひとつ「峰廼旭酒造(MINENOASAHI)」の建物です。2階の主寝室の床の間は、当時シタン・コクタン・タガヤサンという呪文のような言葉で知られた高級材「唐木三大銘木」の紫檀・黒檀・鉄刀木をふんだんに用いながら、それぞれの線はスッキリとしていてシンプル。天井の高さも相乗して独自の雰囲気を醸しており、当主と棟梁の掛け合いを思わせる洗練された仕上がりです。職人たちの脳内が再現されるような、随所に残る息遣いが感じられます。